2013年4月23日火曜日

朝堀りたけのこ

橋を渡って出町柳の上京区側に入るとすぐのところに古い商店街があります。
ふだんは白味噌屋さんぐらいにしか行かないのですが、今日は八百屋さんへ。
先週ぐらいから、京都産の朝掘りたけのこが出るようになりました。
そして見るなり一目ぼれするような、きれいなクリーム色のたけのこに出会い、
即買い。
洛西・塚原産の中くらいの大きさで、1300円。
たぶん安い。

おばさんに「糠なんか入れたらあかん」と茹で方を指導されました。
新鮮で灰汁なんかないから、水だけで茹でないともったいないんだそうです。
曲がったたけのこのほうが甘みがあるとも(根拠はよくわからん)。

ご指導にしたがって水から30分ほど(ふつうよりだいぶ短い)茹で、
刺身にして、わさび醤油で食べました。
甘くて、おいしい。
幸せ。

明日は新もののわかめといっしょに若竹煮にします。
このまえは八幡市美濃山の朝掘りたけのこで、刺身・若竹煮・たけのこご飯
とフルコースを楽しみました。
この春は胃が痛くなるほどのたけのこ三昧です。

八百屋のついでに商店街の小さい本屋で「マーガレット」創刊50周年号を買い、
たけのこ弁当を買い、研究室の前に植える花の苗と土を買い、
よろけるほどの大荷物で出講しました。

2013年4月18日木曜日

タランティーノ『ジャンゴ 繋がれざる者』

見たのではなく、見そびれました。

史上初めて南部の奴隷制度を真っ向から扱ったアメリカ西部劇として、ぜったい見ようと
思っていたのに、うっかりしていて気づけば関西圏では公開終了していました。
唯一、枚方の劇場で明日までやっていますが、上映時間が遅いうえに駅からすごく遠い。
運よく名画座でかかるか、DVDを待つしかありません。
人のせいにするわけではないけど、なぜ身近で誰も話題にしていなかったのかなあ。

解放奴隷ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)とドイツ系の男(クリストフ・ヴァルツ)が、
残酷なフランスかぶれの奴隷商人ムッシュ・キャンディー(レオナルド・ディカプリオ)に
挑んで、ジャンゴの妻である奴隷女性を奪還するという話。
ディカプリオは酷薄な奴隷主をうまく演じそう。

タランティーノはこの作品をエンターテインメントとして仕立てているそうですが、
ハリウッドがこれまで奴隷制度を、存在しないとは言わないまでも、やはり隠蔽して
いるとしか言えないような描き方をしてきたことを思えば、「どんな映画だろう」と
見てみたい気持ちになります。
スパイク・リーは、この映画を「自分の先祖への侮辱だから見ない」と公言している
ようですが(見ていないのに侮辱だとわかるのでしょうか)。

きちんと情報チェックしていなかったくせに、見逃したと思うとなんとしても見たくなります。
『ジャンゴ 繋がれざる者』、まだ見られる地域の方はぜひ。

そういえばタランティーノの名前ってクエンティンなんですね。
クエンティンが撮る南部を舞台にした黒人奴隷と白人の葛藤の映画。
うーん、イミシン。




2013年4月17日水曜日

カザフ青年へのエール

 

 

 

熱が出て、仕事の集中力がまるでなくなったため、ソファで過去に録画したものを
ぼんやり見て過ごしていましたが……
3月に録画しておいたフィギュアスケート世界選手権フリーのデニス・テンがすごい!
十代から注目されていたものの、その後今ひとつ伸びていない時期が長かった気が
します。
それがここに来て、技術、表現とも驚くべき存在感、惹きつける力を発揮しています。
映画『アーティスト』からの曲もよかった。
このままの勢いで、2月のソチにピークを持っていければ、金メダルを獲れるかもという
予感が。
高橋大輔や羽生ももちろん応援していますが、デニスにも優勝を目指してほしいです。

それにしても、辺境カザフスタンから来たこの若い選手に三年前から注目していた
自分は見る目があるとつくづく自画自賛しています。
以下、かつての日記を再録。

2010-2-17 カザフから来た少年

何なのだ、ジュニア上がりにして周りを惹きつけるこの技術と圧倒的な音楽性は。
高橋ともども、アジア人はリズム感が悪いなどといったい誰が言った?

高橋大輔のショート・プログラムは期待通りのすばらしいものだったが、その直前
出ていたデニス・テンという若い選手を不勉強にも知らず、大選手のグループに
運悪く紛れ込んだアジア(妙に日本人顔をした)の弱小選手と見くびっていた。

デニス・テンカザフスタン高麗人の家庭に生まれた16歳。
コーチは浅田真央と同じくタラソワだそうだ。

エフゲニー・プルシェンコのふてぶてしいまでの強さはどこか好ましい。
復帰、そしてこれでもかという4回転へのこだわりは、スケーティングの美しさ
ばかり重視するジャッジへの異議の意味もあるようだ。
それに比べて、チャレンジのないエヴァン・ライサチェクのソツのなさというのは
毎度どうも退屈である。
今日も会心の出来だったようだけれど、この人の演技の途中には、私はつい
トイレに行ってしまう。
強さと危なげを併せ持つブライアン・ジュベールはつねにうまく行ってほしいと
願っているが、今回は絶望的。
オリンピックのような舞台では、往々にしてライサチェクのような選手がトップに
なりがちだ。

高橋はテクニック・エレメンツ48,90、コンポーネント・エレメンツ41,35、
減点ゼロの自己最高90,25点。

 

2013年4月16日火曜日

京都御所のクレソン

住んでいるところの目と鼻の先にありながら、どうも足を踏み入れがたかった御所。
昨日、トイレを借りるという尾籠な理由で初めて敷地に入ってみたら、八重桜が
満開でした。
それはたいへん美しく、しばし見入っていたのですが、たわわの花の重みで
垂れ下がった枝の間を分け入ってゆくと小川が流れていて、よく見るとそこに
阿蘭陀辛子、すなわちクレソンが群生していました。

前の晩、だいぶ不健康な夜を過ごし、からだがビタミンを欲していたので
小川のきわまで入っていき、クレソンをひと束摘み、小川の水で洗って
その場でばりばり食べました。
辛みが強くて、濃い味で美味しく、また摘みに戻ってしまいそうです。

「野生のクレソンを食べた」という認識ですが、ひょっとしたら皇室から盗みを
はたらいたということにもなるのでしょうか。

2013年4月13日土曜日

最近読んだ本

本はもう目がつぶれそうなほど読んでいますが、最近はしばらくすると
読んだことすら忘れてしまうことがあるので、このひと月ほどの間に
読んだもの・再読したものを備忘録として記しておきます。

メルヴィル『白鯨』岩波文庫の下
池澤夏樹『春を恨んだりはしない』
池澤夏樹『スティル・ライフ』
池澤夏樹『真昼のプリニウス』
池澤夏樹『双頭の船』
安部公房『方舟さくら丸』
セルバンテス『ドン・キホーテ』岩波文庫の前編の一
ダニー・ラフェリエール『ニグロと疲れないでセックスする方法』
冨原眞弓『ヴェーユ』
吉本隆明『甦るヴェイユ』
フロベール『ボヴァリー夫人』

追記:上のリストに加えて忘れていたもの

池澤夏樹『雷神帖』
黒田夏子『abさんご』

追い詰められながらも楽しく読んでいますので、やっぱり本は好きなんだなと
思いますが、ここのところ義務の読書が先んじて、外国語の本を読む時間がなく、
後ろめたい気持ちがいつもつきまとっています。

目がかすんで、焦点スピードがどんどん遅くなっているのも、老化の一種
なのでしょうか。
目が見えず、音、匂い、触覚だけの世界というのも興味はありますが、
とりあえず仕事ができなくなるので困りますね。
この頃あまりに目が疲れて見えにくく、ちょっと怖くなったりします。

2013年4月7日日曜日

ダニー・ラフェリエール書評

『すばる』5月号で以下の書評をしています。

「すけこましニグロの見出された軽さ」
ダニー・ラフェリエール『ニグロと疲れないでセックスする方法』(立花英裕訳、藤原書店)

ラフェリエールはカリブ海ハイチ生まれ。
70年代にモントリオールへ亡命し、85年、本書でデビューした作家です。

買うのも人前で読むのも、なかなか勇気のいる本ではありますが、れっきとした文芸書。
ジャズが響く多文化都市モントリオールの片隅でくり広げられるニグロ青年の日常から
80年代特有の空気が伝わってきます。

先に訳された『ハイチ震災日記』『帰還の謎』(メディシス賞受賞)以来の書評でした。
(前は『図書新聞』に掲載してもらいました)
よろしければご笑覧ください。

2013年4月4日木曜日

新じゃがの男気風

新学期、今年度スタートした新学科の仕事が押し寄せ、レシーブを返しても返しても
次の球が飛んできますが、合間に美味しいものを食べ、英気を養っておきたい。

この春は、去年できなかった京たけのこ三昧をするつもりですが、大学近くに
トラックで売りに来る農家のおじさん曰く、「地元のは4月20日頃から」とのこと。
なので今は新じゃがです。

新じゃがの煮っころがし、世に普及するレシピを見ると、だいたい少量の出汁に
しょうゆと砂糖を大さじ1~2というような、お上品なものですが、私はもっと
がつんと男気のあるものを作りたい。
煮っころがしはそのほうがぜったいに美味しいです。

まずは、小さめの新じゃがをたわしでこすり洗います。
フライパンに多めの油を入れたら、皮に軽い焦げ目がつき、中味のほくほく感が
手に伝わってくるまで、炒め揚げのようにします。
余分な油を切って、日本酒をじゃーっと大胆に回し入れ、さらに砂糖大さじ4、
しょうゆを大さじ5。
で、しばらくぐつぐつ煮詰めてできあがり。

調味料のこの大胆さが、こってりした美味しさの決め手。
水はまったく入れません。
覚えるのが面倒なら、もう砂糖もしょうゆも大5でOKかも。

仕事をするにつけ「男気」の必要を感じるこの頃ですが、これはあくまで
言葉のアヤで、男女を問わず、あるとかっこいいなと思っているもの。
もちろん自分も含めてです。