2014年1月8日水曜日

イベント「マリーズ・コンデ/グアドループの海岸から世界文学の深層へ」

1月13日(月祝)15時から、下北沢のブックカフェB&Bで、本の刊行記念イベントが
 
カリブ海のスライドなどもたくさん用意しましたので、お時間があればどうぞ参加してください。
(ウェブサイトでの申込みが必要です)
 
以下、B&Bウェブサイトからの転載です:
 
大辻都×小野正嗣×管啓次郎
「マリーズ・コンデ/ グアドループの海岸から世界文学の深層へ」
『渡りの文学』(法政大学出版局)刊行記念


カリブ海のフランス海外県、グアドループ。この美しい島出身のマリーズ・コンデは、
現代フランス語圏文学を代表する作家のひとりです。
彼女の文学の全体像を見わたす本格的な研究書『渡りの文学』の出版記念イベントとして、
著者の大辻都さん(京都造形芸術大学准教授)と小説家の小野正嗣さんに対談して
いただきます。

小野さんがパリ第8大学で博士号を取得した際の論文は、まさにマリーズ・コンデ論。
また、司会・進行を務める管啓次郎さんはコンデの『生命の樹』を翻訳しています。
カリブ海文学に関心をもつ3人のお話から世界文学の第一線が浮かび上がる、
刺激的な午後となることでしょう。

2014年1月6日月曜日

『いま、世界で読まれている105冊』

またさかのぼってのお知らせですが、日本未翻訳の世界中の文学作品を紹介するという
面白いコンセプトの本が発行され、私も執筆に参加しました。

タイトルは『いま、世界で読まれている105冊』(Ten-Books、2013年12月刊)

アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ、オセアニア……それこそ世界中の地域から
105冊が紹介されており、私はグアドループの作家、シモーヌ・シュヴァルツ=バルトの
『奇跡のテリュメに雨と風』について書いています。

できることなら翻訳もしてみたい、人気作家のマリーズ・コンデとはまた違った、神秘的な
味わいをもつ、大好きな作品です。

2014年1月5日日曜日

『渡りの文学』刊行のお知らせ

 

 
明けましておめでとうございます。
2013年12月に著書を刊行しました。手にとっていただけると、うれしいです。
今年も文学を通し、近くや遠くの世界のことを考え続けたいと思っています。
 
大辻都『渡りの文学 カリブ海のフランス語作家、マリーズ・コンデを読む』
(法政大学出版局)  
                       
以下、目次です:

序章 マリーズ・コンデとは誰か?

第I部 カリブ海、言葉の胎動

第1章 被植民者による諸理論の変遷とその後景
一 セゼールとネグリチュード
二 クレオール性とは何か?

第2章 書かれること/書くこと──表象としてのカリブ女性から女性作家へ
一 植民者と「黒人」の出会い──恐怖から接近へ
二 ドゥドゥイスム──クレオール女性の表象
三 ヨーロッパ人作家が描く「黒人」女性像──『ウーリカ』『ユーマ』「ボアテル」

第3章 カリブ海の女性作家誕生
一 戦間期とヴィシー政権下──S・ラカスカード、S・セゼール
二 一九六〇年代:カリブ女性の日記文学と病理──ミシェル・ラクロジル
三 一九七〇年代:クレオール世界のアレゴリー──シモーヌ・シュヴァルツ=バルト

第II部 マリーズ・コンデを読む

第1章 マリーズ・コンデと「アフリカ」──『ヘレマコノン』をめぐって
一 『ヘレマコノン』とその背景── 一九六〇年代初頭のアフリカ独立国家
二 セゼールからファノンへ──コンデと「アフリカ」を結ぶふたりの作家
三 大文字の「アフリカ」はあるのか
四 隔てる時間と集団的記憶

第2章 非‐マロン文学としてのカリブ海文学──『わたしは魔女ティチューバ』
一 アフリカからアメリカへ──新たな自伝
二 マロナージュと母子関係──トニ・モリソン『ビラヴィド』と『わたしは魔女ティチューバ』
三 語りとしての滑稽叙事詩と非‐英雄たちの共生

第3章 アフリカ‐アメリカ‐カリブ海──『最後の預言王たち』
一 ふたたび「アフリカ」──非‐英雄スペロの起源探索
二 アメリカのカリビアン
三 カリブの母の系譜
四 アメリカ/カリブのアナンシ的ネットワーク

第4章 蜘蛛の巣化する一族──『悪辣な生』
一 カリブ海の歴史とある家族の「滑稽叙事詩」
二 個人の記憶、集団の記憶
三 世界の周縁としてのカリブ海ディアスポラ

第5章 アンチ・ヒーローと名前──コンデ作品のカリブ世界創造:『マングローヴ渡り』『移り住む心』(前)
一 英語文学の書き換えとグアドループへの移植
二 他所者のいる共同体
三 奇妙な名──クレオールの魔術空間

第6章 微弱なポリフォニー──コンデ作品のカリブ世界創造:『マングローヴ渡り』『移り住む心』(後)
一 複数化する乳母(マボ)たち
二 コンデの「姉」リースの多層的批判
三 マングローヴを生きる──シャモワゾーとの対話

終章 世界の網としてのカリブ海

 註記
 あとがき
 附録3 マリーズ・コンデ個人年譜
 附録2 カリブ海の女性文学史
 附録1 カリブ海のフランス植民地史概略
 参考文献一覧
 索引