2012年6月28日木曜日

わすれもの

今週末も、私にとっての新しい授業です。
自己紹介がテーマなので、谷川俊太郎の詩「自己紹介」を扱おうと前から思っていました。
2007年に刊行された『私』という詩集に入っています。
授業の前に、詩集全体にもういちど目を通そうとしたら、ギャー、東京にキープしてあると思いこんでいて、京都の研究室に忘れて出てきてしまった!
日替わりでいくつもの拠点を渡り歩くような生活なので、持ち物のチェックが大変です。
たいてい何か忘れます。
何を忘れてもいいけど、一番忘れてはいけないものが教材!

近隣の大学図書館、区立図書館にもないようなので、ある本に引用してある断片を使うしかありません。
面白い詩なんです。
少しだけ引用。

私は背の低い禿頭の老人です/もう半世紀以上のあいだ/名詞や動詞や助詞や形容詞や疑問符など/言葉どもに揉まれながら暮らしてきましたから/どちらかと言うと無言を好みます/……

自己紹介を書くってむずかしいことです。
これはまったく侮れないですよ。

2012年6月23日土曜日

ひとり夏至祭り

公私とも混乱のきわみにあるうち、重要な日付である夏至=小誕生日を迎えたのに気づかぬまま通り過ぎてしまいました。
夏至をピークとする今のこの季節、この数週間の喜ばしさは、個人の小さな生活がどんな状況であれ、かけがえのないものだと思っています。
ところで、個人の誕生日と命日はどんな関係にあるのでしょうか。
どう考えても、全然関係ないですね。
かぎりなくゼロに近い日に生まれたので、豊饒な時期に死ねたらうれしい、自分もそうなるかもと思ったりもしますが、まあどうでもいいことかもしれません。

ばたばた東西(一都二県二府)を行き来しているうち、yoyo館の前に植えたサラダ菜が収穫期を迎えていたというのに、今週の強烈な暴風雨ですべて駄目になっているのに気づきました。
わずかながら最初の頃に食べたものは、やわらかくて苦味ばしった濃い野菜の味がして美味しく、これを時々引き抜いて外水道で洗って食べれば、野菜不足がおぎなえると思っていたので残念です。
たくましさに期待していたミントもさすがによれよれです。
朝顔だけは、まだ丈が短くて助かり、元気です。

デスク前の緑がどんどん濃くなってうれしいので、もっときれいに見えるように窓ガラスをぴかぴかにしました。
トイレの上の雨樋に松葉が溜まりすぎ、雨が降ると、トイレのドアの前がナイアガラの滝のようになって入れないので、これも熊手で掃除しました。
人と会う仕事を済ませた後、居心地がよくなったyoyo館で長い夏至の夕方を楽しんでいます。

2012年6月22日金曜日

週末の授業

今週末は、今年度私が新しく担当する文学の授業のうち、ひとつ目をおこないます。
とりあえずいくつかの材料を集めてみました。
宮崎駿のアニメ作品『ハウルの動く城』、室町時代物語大成より「うばかは」(姥皮)、
堀江敏幸の『いつか王子駅で』、大江健三郎の「人間の羊」、ミラン・クンデラの『カーテン』など。

これをどう構成するかはここでは書きませんが、
「創作を目ざす人たちへ」と題して、創作する立場でどのように文学作品を読むかということを、段階を踏みながら一緒に考えようと思います。

それにしても「うばかは」、愛知や山形、新潟など日本各地に伝わってきた話のようですが、発想がめちゃくちゃ面白いです。
「皮」を着るとなぜ若い娘が老婆の姿になれるのか、さっぱりわけがわかりません。
古文など大の苦手だったのに、気合いで読めば読めてしまうこともわかりました。
これが年の功ということなのかもしれません。