2013年2月26日火曜日

受験国語とギリシア・マキノ


これから大学で文芸を学びたいと思っている人たちに向けての
ミニ講義というものがあります。
そこで知恵を絞って考えついたのが、受験国語用テキストを
文学として楽しく読んでしまうという企画です。
このため目下、牧野信一と須賀敦子をいろいろ料理しているところ。
じつはそれぞれ、今春のセンター試験、大阪府公立高校の入試で
出題された作家なのです。

こう読んでみると、端正で奥深い須賀敦子の文章(『一トンの塩』)
ともかく、
ギリシア・マキノと呼ばれた牧野信一というのは変な作家ですね。
文学を始めるのに自分は何も知らないことに気づき、ギリシアまで遡って、
アリストテレス、プラトンと読み始め、パスカル、セルバンテスと
読み漁るんですが、必要なだけ読むには100歳まで生きても間に合わない。
挙句に自殺してしまうという、文学者として理屈はわかるがどうにも
居たたまれない人でした。
居たたまれないというのは、私自身その傾向があるから思うのですが、
「虱潰し方式」は生産的ではない手法です。
石井洋二郎『告白的読書論』にあった「割り算(あるいは引き算)の教養」
という名言を心に刻んでいる今日この頃です。

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