2013年3月22日金曜日

吉本隆明『甦るヴェイユ』

吉本隆明『甦るヴェイユ』を読んでいて、労働者であることを知るためあえて
女工をしていた頃のシモーヌ・ヴェイユの日記の断片、そして吉本隆明の覚書に、
急激にやりきれない思いが募りました。

毎日毎日、火傷や怪我をしかねない劣悪な環境で、同じ部品を何百も作り続け、
感情、表情を失くさなければやっていけなくなるのです。

それ以上につらいのは、理にかなわぬ言い草で上役にしばしば怒鳴られること。
怒鳴られたヴェイユの体には震えが走ります。
その行為、その関係には思考が介在しない。いっさいの理性は停止し、
放棄されている。
その耐えがたさと震えは共感できます。

ヴェイユ自身は工場で働くことで、何者でもないもの、サバルタンであることを
知ろうとし、そのことで真実に近づこうとしたのだと思います。

激しい頭痛、肉体の疲労と闘いながらの彼女の行動はすごいです、
純粋で壮絶な人です。

しかし今日は、読んでいてあまりにへこたれてしまいました。
それでもなぜ読み続けているかというと、「ヴェイユと植民地主義」という
テーマの手がかりになる……かもしれないと思っているからです。

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