2012年12月29日土曜日

年末雑感

怒涛の一年が終わろうとしています。
仕事納めの日、コースの同僚たちとこじんまり、今年最後の京都の夜を過ごしました。
深夜の碁盤の目をさまよい歩き、夜明けも近い鴨川べりのベンチで話したのが楽しかった。

関西に来て8カ月。
心身ともにきつい時期が続いていて、異郷で孤軍奮闘している感がありましたが、
気づいてみれば多少とはいえ人とのつながりもできており、そのぶん悪い意味での緊張が
緩みつつあるのを感じます。
移動とストレスの多い生活で、かえって家族のありがたさも意識できました。

生活者として京都を見る余裕が出てきたところで、今年いっぱいはと諦めていた
(あるいは甘えていた)自分の仕事も始めたいと思います。
とはいえ、しばらく頭から離れていたので、いろいろ考えたり読んだりするリハビリが
必要な気が。

2012年12月25日火曜日

喰って喰われて:太地にて

来年の授業プログラムに入れているというのにじつは最後まで読んでいない
メルヴィルの『白鯨』片手に、和歌山県の太地町を訪れました。
紀伊半島最南端にほど近い入り江にあり、
太平洋側にこんなところがと驚くほど美しく静かな町です。
それだけでなく、17世紀以来続いた古式捕鯨の本拠地ならではの
個性的な土地柄を感じさせます。
最近は捕鯨に強硬に反対するシーシェパードに糾弾され、
映画『ザ・コーヴ』の舞台ともなりました。
 
お客が入ってなんぼの鯨肉専門店に「Keep Out」の貼り紙がされてているのは、
正直ショックです。
つまりこの表現の意味が理解できる者は入るなと考えればいいのか。
私たちは一応理解できましたが敷居をまたぎ、
こんな物物しい貼り紙とは不似合いの穏やかなおばちゃんと世間話などしながら、
いくつかの品物を買いました。
 
くじら博物館では、ハナゴンドウ、コビレコンドウなど鯨たちに
手ずから餌をやることができます。
シシャモらしき小魚を「はいっ」と投げてやると、「もっとちょうだい」と
逆三角形のお口を開けて待っている。
ヒレを振ったり、尾っぽを振ったり、潮を吹いたりしながら。
とても可愛い。
 
そしてゴンドウクジラのこの可愛い尾っぽの刺身、オノミは正直とても美味しい。
 
鯨やら海豚やら、こんな可愛い動物を食べてはいけないという人々がいる。
では牛や豚は可愛くないのか?
牛も豚もシシャモも全部可愛い。
でも生態系を乱さぬ範囲で、他の動物の命をいただくのはいいと私は思います。
 
19世紀にはアメリカでもカナダでも捕鯨が盛んで、ペリーが黒船で日本に来たのは
捕鯨基地をもとめてのことだったのはよく知られていますが、
くじら博物館のアメリカの捕鯨コーナーをまわっていて、当時のアメリカ合衆国の
捕鯨船乗組員のほとんどがアフリカ系アメリカ人とカーボ・ヴェルデ人だったことを
知りました。
フィクションである『白鯨』の乗組員たちも大半が「野蛮人」ですが、
そんななかでNYの白人なのにみずから捕鯨船に乗り込んだメルヴィルって相当に
変わり者ですね。
 
 

2012年12月23日日曜日

高橋睦郎「季をひろう」

朝日新聞土曜版beより、高橋睦郎の言葉。
冬至の柚子とは「太陽を象ったもの」。
今まで意識していませんでした。
あの黄色い球はなるほど太陽です。

二日続けて、柚子湯に入りました。

2012年12月21日金曜日

冬至ウォーキング


今日は誕生日=冬至=一年のゼロ地点という数年に一度の日。
大阪アースダイバーごっこ(中沢新一)にハマっているため、大阪最古の地主神が祀られている旧坐摩神社跡へ日の出を見に行きました。

前も書いたように、ここは冬至の早朝、生駒山系高安山からのぼる陽光が巫女に神の子を宿らせたと考えられた場所。
今はビルの谷間になっていて、視界の開ける難波宮まで出て初めて薄オレンジの陽光が拝めるのですが、この日の太陽と神社の位置関係にはなるほどと納得。

魅惑的な冬至ウォーキングでした。
 
家ではビデオを見ながら、カヒコフラの火山の踊りを見よう見まねで踊る。
よく動きました。

2012年12月17日月曜日

『大阪アースダイバー』

状況はどうあれ投票へは行くというのが方針でありながら、
転入届の提出が大幅に遅れたため現住所では投票できず、
アメリカ在住の時以来の棄権です。

ところで。
中沢新一の『大阪アースダイバー』がめっぽう面白い。
古代の地形から都市の成り立ちを読み解くのが「アースダイバー」のスタンスですが、
東京をテーマとした元祖より面白いと思います。

二千年前にはほぼ海底にあったのが砂の堆積により形成された土地であり、
海民と先住民が交流して「無縁」が基本である商いの都市を生み出したとの解釈は
大胆にして新鮮です。
そしてその形成の核になるのが、もともとの陸地である南北の上町台地のライン
(アポロン軸)と、この正しいラインを生駒山の方向へ捻じ曲げる東西の河内のライン
(ディオニュソス軸)のふたつの軸。

偶然にも私自身の大阪との関わりというのが、海であった梅田でも心斎橋でもなく、
まさにアポロン軸たる谷町筋(谷町線)とディオニュソス軸たる河内(近鉄南大阪線)
で、つねにこの北から南へ、西から東へというL字型を移動しているのが日常であります。
そして私の大阪での精神的拠点はなぜだか、かつて一時期住んだことのある
大阪市中央区石町であり続けているのですが、ここは上町台地の北端に位置します。

本書によれば、ここは新羅の渡来人であるツゲ氏(都下とも書かれる)が
渡辺氏と名を変え支配した一帯であり、豊臣秀吉により強制移住が命じられるまでは、
河内王朝最古の地主神を祀った坐摩神社があった場所なのでした。
これは中沢氏の推察の域にはあると思いますが、冬至の日、生駒山からの最初の陽光が
射すのが坐摩神社の位置であり、
つまり古代の人々は、この光により巫女が神の子を産むと考えていたという。

冬至っ子の私には、あまりに刺激的な発想ではありませんか。
間もなく来る冬至の日には、ぜひとも石町の坐摩神社跡に行ってみたいと思います。
さらにまた、私の移動ラインの続きである、上町台地(アポロン軸)北端から
東へ向けてのライン(京都市伏見区あたりまで)、伏見区から左京区までの
南から北へのラインという逆L字ラインについても、自分で考えてみたいです。

土地について考えるのは、なんでこう楽しいんでしょうか。

2012年12月12日水曜日

ハイジの館

ケベックのナショナル・アイデンティティについての話を聞きに京都大学まで歩こうとしたら、
途中で霰がバラバラと降ってきて、ついタクシーに乗りました。
一昨日の雪の日は、熱を出して布団から出ませんでしたが、やはり京都の冬は寒い!

しかし晩秋以降のyoyo館は、木立の冬枯れた感じがなんともロマン主義的にすばらしく、
あるいはまた、お部屋に籠るハイジの気持ちにも浸れ、うっとりです。

ハイジ気分を高めようと、ラブリーな赤いギンガムチェックでカーテンを縫い、
丸見えの入り口の間仕切りにしました。

これだけ落ち葉が豪勢にあると、焼き芋がしたいのが人情です。
事務の女性たちを焚火に誘い、ブランド薩摩芋(熊本のとろ蜜芋)をひと箱買い、
いざ焚火のやり方を調べてみると……
こんな山のなかでやってはいけないことは、基本中の基本でした。
もの知らずを恥じ、出直します。

2012年12月7日金曜日

ガケ書房の「北と南」

大学近くの白川通り沿いに「ガケ書房」というちいさな書店があって、
毎日バスで通り、たまに立ち寄ります。
今日、久しぶりにのぞいたら、私も寄稿している『北と南』最新号が置いてありました!
表紙を向けるかたちで、目立つ場所に二か所も!

このブログでお知らせしそびれていましたが、2か月ぐらい前に第3号が出たのです。
私は自信作、「レッドダート・ブルーズ」を連載しています。

感度がよく、すばらしくていねいに作られているこの雑誌、関西では大阪のカロ・ブックス、
京都の恵文社一乗寺店にも置かれています。

恵文社もガケ書房も、ちいさな雑誌や書店員の目で絞り込んだ書籍を集めた、入って
うれしくなるような書店です。
こういうのがあるところが、京都の魅力ではあります。
相変わらず、有名な寺社仏閣にはひとつも行かないまま、もみじのシーズンは過ぎ去って
しまいましたが。

ガケ書房の電話とファックス番号見ていて笑いました。
電話:ナニヨオールナイト
ファックス:ナニッ クルシイオッサン

こういうの大好きです。
私の昔の電話は、ミニデムリヤリ オドローゴーゴーでした。

2012年11月14日水曜日

『新潮』、安部公房効果で異例の増刷

先日発見された安部公房初期の短編「天使」が掲載されたことで
『新潮』が文芸誌としては異例の増刷。
当初の1万600部刷っていたのが、各地で売り切れ続出のため
追加で4000部増刷。

この機会にぜひ、同時掲載の書評、「フォークナーを完成する」を
お読みください。

2012年11月8日木曜日

「フォークナー、ミシシッピ」書評

『新潮』12月号に、エドゥアール・グリッサン著『フォークナー、ミシシッピ』(中村隆之訳、
インスクリプト刊)の書評を書きました。
タイトルは「フォークナーを完成する」。

必死で熟読し、苦しみながら書いたぶん、グリッサン理解が前より深まったかも。
面白いけど、やっぱりむずかしい……
よかったらご笑覧ください。

おりしも、週末の授業で扱ったフォークナー。
グリッサンのいう、この作家固有の構造、「後れてくるエクリチュール」についても少し
話しました。

「意識の流れ」は20世紀モダニズム作家たちが試みた実験的技法、なんて
文学史ではさらりと説明されるけれど、上の構造のためには必然の要素で
決して同時代の流行りだからというわけじゃないんだということも、あらためて感じました。

今月号の『新潮』、最近見つかった安部公房の短編「天使」も載っているので
ぜひ本屋へ!

2012年10月25日木曜日

シャモワゾー来日とそのついでに

パトリック・シャモワゾーが京都にやってきます!
この来日にともない、いくつかのイヴェントが組まれているようです。

まずメインの講演会はこちら。

11月15日(木)17時より
立命館大学衣笠キャンパス創思館カンファレンスルーム
「カタストロフィと正義」
講演者:パトリック・シャモワゾー
ディスカッサント:ポール・デュムシェル
司会:西成彦
モデレーター:中川成美

11月12日(月)18時30分より
紀伊國屋書店
「文学の力」
パトリック・シャモワゾー×大江健三郎
司会:堀江敏幸

11月17日(土)
アンスティテュ・フランセ東京
「口承性とエクリチュール」
パトリック・シャモワゾー×吉増剛造

話を聞けるのが楽しみです。

この来日に合わせ、東京と京都でやる「ポストコロニアル文学」授業の内容を
当然ながらシャモワゾー特集に変えました。

比較的最近翻訳が出た『カリブ海偽典』をしっかり準備する時間はなかったので
『テキサコ』を扱います。

2012年10月19日金曜日

長谷川潤、ハワイを踊る

BSプレミアムで木曜の夜中に放映している「長谷川潤 ハワイを踊る」。
すばらしい番組で、今や毎週心待ちにしているのですが、あまり宣伝していないため、
半分ぐらい見逃してしまったのが悔やまれます。

ハワイ島育ちのモデル、長谷川潤が、フラの偉大なクム、ナラニ・カナカオレさんにカヒコ(古典フラ)を習うのです。
まずその振付がたいへん力強く、かっこいい。
当然、テレビの前で一緒に踊っていますが、ぜひとも模倣をきわめて全部踊れるようになりたい。
長谷川潤は足腰は意外に弱いようだけど、振付の覚えも早く、四肢がのびやかなので
とても美しく見えます。

そして毎週、ハワイ語で語られるハワイのさまざまな神話やメレ(詠唱)も楽しみですし、
場所や植物の紹介なども充実していて、フラをその本来のスピリットから
紹介しているのがいいです。
今日は、長谷川潤はおじさんとタロイモ(カロ)を収穫し、熱々に茹でたこれをつぶして作る主食、
ポイを作っていました。
少し酸味のある味と記憶していますが、できたてのポイは甘い!と長谷川潤が言っていました。

こんな番組を見るにつけ、やはりそろそろ自分も踊りたくなってくる。
京都にすばらしい指導者がいるというのは東京のハーラウで聞いていましたが、
そんなところに飛び込むほどの時間的余裕は今現在ない。
たまに軽ーくでいいから踊りたいなと思いながら歩いていて、
つい鴨川べりのスポーツクラブに入会してしまいました。
いや、ここに会員なら誰でも参加できるフラのプログラムがあったもので。

2012年10月11日木曜日

消えたマルチニック料理店

今年の初め、思えばまだ東京在住だった頃ですが、京都を散歩していたら、
なんと御所の目の前に「カリブ海サンドイッチ屋」を見つけました。
メニューや店構えをみると、どうやらマルチニック本場の味らしく、非常に
興味を掻き立てられました。

まさかその近所に自分が住むことになるとは、その頃は思ってもいなかったのですが、
ぜったい行こう、通いつめることになるのでは?という期待と予想とは裏腹に
足を運ぶ機会もないまま10か月ほど。

先週、通勤のバスのなかからふと見ると、店がもぬけの殻になっている!
結局、一度も京都のマルチニックを味わうことはできませんでした。
京都の、しかも御所の前にこんな場所があることがすばらしかったのに。
非常に残念!

ところで、スケジュールはもちろん心の余裕なく、7か月暮らして寺社仏閣のひとつも
見ていません。
来月ぐらいには一日二日、夏休みをとれるよう、がんばって切り抜けたいです。

2012年9月25日火曜日

喜多方の夜

東北ツアーを続ける、朗読劇「銀河鉄道の夜」を見に、福島県の喜多方を訪れました。
会場は、江戸時代から続く造り酒屋、「大和川酒蔵・北方風土館昭和蔵」。
ご神樹の背後にある木造のその建物は、何百年も使い込まれ、磨き込まれ、
同時に現代的な清潔さにも満ちていました。

今回の出演者は、古川日出男、管啓次郎、小島ケイタニーラブ、そしてこの春から加わった
柴田元幸の各氏。
じつは代官山・サラヴァ東京でおこなわれた昨年の初演以来、今年の3.11の
西麻布・Rainy Dayでの公演、そして今回と、見に(聴きに)行くのは三回目。
初演の感動(笑いと涙)も、今年3.11の、出演者たちの魂が結集したような
豪華なプログラムも忘れがたいですが、
今回は最初から最後まで震えるような感動をおぼえ、終わった後は聴衆のこちらまで
ぐったりするほどでした。
それは賢治の世界そのもののようなこの場所で演じられたからということもあるでしょうし、
同じタイトルの舞台でありながら、この場にこそふさわしい・この場でしか聞けない
改変が、すべての演者によってなされていたからでしょう。

それにしてもあの力強いオリジナルな朗読、「永訣の朝」は涙があふれます……
朗読には、かような力があるのだと感じ入ります。

おりしも(というか、考えてみれば影響大受けなのですが)、京都の山々を見渡せる
大学のテラスで『銀河鉄道の夜』の読書会を企画しています。
そのためつい先日、テキストをじっくり読み直していたせいもあり、舞台の(とりわけ
古川氏の)深い解釈と、テキストからのこちらのイメージと理解がシンクロしたことも
感動につながったのかもしれません。

出演者の方々の文学への向き合い方には、いつも慄然とする思いがあります。
接することができて幸い。
ありがとう、ハルレヤ!



ところで今回の旅の出発地は、父の遺品整理のために訪れていたわが第二のふるさと、
大宮。
新幹線の車中、共通する景色、少しずつ混じってゆく東北の空気を実感しながら、
大宮は東北の玄関でもあると思いました。
発見です。

2012年9月6日木曜日

スズメバチ再び

コメントをいただいていたのに、なぜか反映されていなかったようで、すみません。

ひとり研究室にいると、雷が深く山に響いているような感じが恐ろしいです。
そしてさっきから、ガラス窓と網戸の間にはさまってうろうろしているスズメバチ。
横目で見ながら、グーグルで画像検索してみれば、やはりどうにもスズメバチ。
恐ろしい。
一度、巣が駆除されたという話だったのですが、まだいるようで、途中の山道が再度
封鎖になりました。
家ではそろそろカブトムシが落命し始めました。
なんだかサビシイ。
東の都のみなさん、お元気でしょうか。
グスン、シクシク。

猛然と教科書書きながら、秋の始まりを感じています。
ラブレー、モンテーニュとすごい勢いで駆け抜けていますが、もっとじっくりおつき合い
したいですね。
近いうちにはきっとね。

2012年8月27日月曜日

熊と蜂

つい先日、スズメバチの巣がようやく駆除されたと思ったら――といっても、黒い大きな蜂が今でも時々近くを飛んでいてヒヤヒヤしているのですが――私のいるこの山に、最近は熊が出没しているそうです。
熊の心配をする日が来るとは、人生わからないものだとしみじみ。

そんな話を授業中にしていたら、出席カードの余白などにいくつもアドバイスをいただきました。
鈴を振るより、人声――声を挙げながら歩く、ラジオをかけるなど――のほうが効果があって、熊が逃げていくとか。
よく言われる「死んだふり」というのは無理だそうで、襲われてしまったら死にものぐるいで闘うべしと、わりと信頼できそうなウェブサイトに対応策が紹介されていました。

スズメバチは、夜は活動しないので、夜間に巣に火をつけるのがよいそうです。
黒い服、それから香水のにおいというのが危険だそうで、巣が駆除されるまでは、白いストールに身をつつんで、恐怖に息をつめながら、途中の森を抜けていました。
私は二十年ほど前ブヨに刺され、脚が丸太ほどにも腫れ上がって何日も寝込んだ経験があるので、ハチの類はアナフィなんとかショックを起こすのではないかと心配です。
出勤するのも命がけです。

部屋のなかには先週以来、10センチ近くある巨大蜘蛛が2匹ほど現れていますが、これぐらいはまあご愛嬌。



2012年8月14日火曜日

甲子園の午後

生まれてはじめて甲子園球場に行ってきました。
特にそれが目的というわけではなかったのですが、高校野球開催中で
カードは青森の光星学院対石川の遊学館。
日本、外国含め、いくつか訪れたことのある野球場のなかでも、もっとも気持ちのいい、
夏の一日を過ごすには最高の球場だと思います。
3塁側の上のほうの席でしたが、炎天下ながら顔に向けてさわやかな浜風が吹いてくる。
それから気圧のおかしい東京ドームなどと比べ、生ビールがすごく美味しい。
テレビ経由だとなんのこともないブラスバンド演奏や打球の音も、生で聞くとぐっと心地よい
ものです。
阪神名物いか焼き、辛さが暑さにぴったりの甲子園カレーをはじめ、ナニワのB級おやつが
売店に勢ぞろいしているのも、豊かな気持ちにさせられます。
大きなせんべいの上になぜかたこ焼きがふたつ乗っている「たこせん」なるものを
次は食べてみたいと思いました。
ここのところ、三日と空けず粉もんを食べています。
やはり関西は、底のレベルが高いところがすばらしい。

2012年8月9日木曜日

伊調馨の反射神経

多忙につきろくに「予習」できないままオリンピックを見ていますが、昨夜のレスリング、伊調馨(62キロ級)、小原日登美(48キロ級)の試合はすばらしかった。
小原が決勝であたったアゼルバイジャンのマリア・スタドニクは、上位に年配者が多いなか、さすが
20代前半ならではのスピード感ある攻撃ぶりで、見ていて感銘を受けました。
これを抑え込める小原って、いったいどれだけ強いんだか。

しかし小原より目を奪われてしまうのは、やはり伊調馨です。
私が今女子高生ならラブレターを出したくなるほど男っぷりのいい兄、いえ姉の伊調千春に比べ、一見女の子っぽさの感じられる馨ですが、あの圧倒的な強さは天性のもので、今回も感動を覚えました。
反射神経というのは私にはもっとも縁遠い資質で、それだけに目の当たりにすると驚嘆してしまうのですが、一瞬のうちに相手の隙を予感しとらえる伊調の反射神経は、無限の想像力に満ちた、とりわけ貴重なものに感じます。
足をとられて劣性になった次の瞬間相手を組み敷いて攻めている、その瞬時の転換もさすが。
女子レスリングといえば、吉田沙保里や浜口京子のほうが取り沙汰されがちですが、私は前から伊調妹の存在に惹きつけられてきた気がします。

ここ8年ほど、柔道やレスリングの面白さに目覚めていますが、今回柔道では胸のすくような一番を見ていないので、昨日は貴重な一夜でした。
いやー、これこそ文学。

2012年7月30日月曜日

植物愛3冊

『雲母』のリレーエッセイ、「この3冊」に「植物」をテーマにした3冊を推薦しています。

紹介したのは『昆虫記』で有名なファーブルの『植物記』。マリー・ペルトの『恋する植物』。
伊藤比呂美のすばらしくワイルドな詩集、『河原荒草』。
『河原荒草』は引っ越しでなくなってしまい、想像で書きましたが。

この季節、植物への愛はもっとも高まります。
冬に食べ忘れたサトイモが、今ベランダのプランターで巨大な葉をたくさん茂らせ、
観葉植物への変身を完全に遂げました。
引っ越したばかりのベランダは、すでに植物でいっぱい。

植物と動物は甲乙つけがたく面白い。
カブトムシはいつの間にか12匹に増えていました。

それにしても暑い!
今の京都町中の空気の感じは、これまで訪ねた他の場所のどこに一番似ているか考えてみたら、
ラスベガスだという結論に達しました。

2012年7月17日火曜日

カブトムシ登場!

昨日夜、一昨日夜と、カブトムシがたて続けに5匹、登場しました。

東京から関西まで、段ボールごと運んだすえの羽化です。
きみたち、栃木生まれなのに、虫としては考えられないくらい、ものすごい移動をしたね!

メスが2匹に、なんだか今年はやけにツノが短いけれどオスが3匹。
まだまだサナギはたくさんいます。
秋が深まるまで長生きして、今度は関西虫として卵を産んでください。
yoyo館周りのクヌギ林に放してあげるのもいいかも。

2012年7月14日土曜日

さよなら女子大

まだ試験は残っているとはいえ、8年半非常勤講師をつとめた女子大の、最後の授業を終えました。
生まれてはじめて教師業についた先がこの大学。
毎週6時台に家を出るのはきつかったけど、すっかり馴染みになり、同僚も友人のようになり、
居心地いい職場でした。

思えば最初の頃は1時間半しゃべれるかの緊張のあまりおなかが痛くなるほどで、たどり着くのもやっと、たったひとコマの授業に疲れ果ててしまったものです。
一対一なら誰とでも話せる自信はあっても、一対複数というのがものすごく怖かった。
誰にも好意を持たれたいけれど、そんなことは普通に考えてありえないという事態におびえていたんですね。
経験は人間を鍛えるもので、今でも怖さは感じるものの、なんとかこなせるようにはなりました。

今の2クラスの学生たちは4月からのつきあいではありますが、授業の後には一緒に写真を撮って、おしゃべりして終了。
元気にがんばって、好きな道をみつけてほしいものです。
原発の避難区域出身で、親子離れ離れの生活をしている学生、フランス留学したいけれど今とても言い出せないと言っていたけれど、焦らずに方法をみつけられればいいと思います。

印象に残っているのは、沖縄からの飛行機に乗り込んだら、担当の客室乗務員、いわゆるスッチーがよく話をした卒業生だったこと。
声をかけたら、おすましして仕事をしていたのが、突然はしゃいだ学生に戻ってしまい、今の仕事の大変さや大学の思い出などいろいろ話してくれました。
いつまでも通路に立っておしゃべりに夢中になっているその手から、能面のようなほほえみの先輩スッチーが持ったまま下げないでいる紙コップなどさっと持ち去っていったりするので、叱られないかとずいぶんドキドキしましたが、こちらも再会できて楽しかったです。

こんな偶然な感じで、またいつかみんなとどこかで出会えたらうれしいです。







2012年7月7日土曜日

ブルターニュについてのエッセイ

通信教育部報『雲母』表4の連載ページ、「芸術時間」にエッセイを発表しています。
タイトルは「牡蠣ーー月と海の記憶を閉じこめたひとつの宇宙」です。

2月から3月にかけ、家族の仕事につき合ってブルターニュのカンカルへとても印象深い旅をしたのですが、あまり人に話したり書いたりする機会がありませんでした。
ものすごいスピードで月日は流れ、すでに遠い過去のようにも感じられるのを、少しじっくり思い返して、牡蠣についてのエッセイを書いてみました。
カンカルと三陸、遠く離れたふたつの海の牡蠣業者が援助しあう関係であることは、意外に知られていないですね。

カラーで牡蠣の直売所で撮った写真も載せています。
ガストロ(ノロウイルス)に罹患し、5日間のたうちまわって苦しんだ直後、決死の覚悟で食べた牡蠣のめちゃくちゃ美味しかったこと。
今すぐ飛んで戻って、あと2ダースぐらい食べたい気持ちです。

これもエッセイに書いていますが、滞在したBreitz Cafeという民宿の窓から見える干潟の景色が感動的でした。
じつはここの経営者であるブルトン人と日本人のご夫婦は、東京ではご近所であることがわかり、びっくりしました。
ブルターニュ地方独特の黒っぽい石造りの建物を買い取って始められたごく簡素な宿ですが、ここはお勧めです。


2012年6月28日木曜日

わすれもの

今週末も、私にとっての新しい授業です。
自己紹介がテーマなので、谷川俊太郎の詩「自己紹介」を扱おうと前から思っていました。
2007年に刊行された『私』という詩集に入っています。
授業の前に、詩集全体にもういちど目を通そうとしたら、ギャー、東京にキープしてあると思いこんでいて、京都の研究室に忘れて出てきてしまった!
日替わりでいくつもの拠点を渡り歩くような生活なので、持ち物のチェックが大変です。
たいてい何か忘れます。
何を忘れてもいいけど、一番忘れてはいけないものが教材!

近隣の大学図書館、区立図書館にもないようなので、ある本に引用してある断片を使うしかありません。
面白い詩なんです。
少しだけ引用。

私は背の低い禿頭の老人です/もう半世紀以上のあいだ/名詞や動詞や助詞や形容詞や疑問符など/言葉どもに揉まれながら暮らしてきましたから/どちらかと言うと無言を好みます/……

自己紹介を書くってむずかしいことです。
これはまったく侮れないですよ。

2012年6月23日土曜日

ひとり夏至祭り

公私とも混乱のきわみにあるうち、重要な日付である夏至=小誕生日を迎えたのに気づかぬまま通り過ぎてしまいました。
夏至をピークとする今のこの季節、この数週間の喜ばしさは、個人の小さな生活がどんな状況であれ、かけがえのないものだと思っています。
ところで、個人の誕生日と命日はどんな関係にあるのでしょうか。
どう考えても、全然関係ないですね。
かぎりなくゼロに近い日に生まれたので、豊饒な時期に死ねたらうれしい、自分もそうなるかもと思ったりもしますが、まあどうでもいいことかもしれません。

ばたばた東西(一都二県二府)を行き来しているうち、yoyo館の前に植えたサラダ菜が収穫期を迎えていたというのに、今週の強烈な暴風雨ですべて駄目になっているのに気づきました。
わずかながら最初の頃に食べたものは、やわらかくて苦味ばしった濃い野菜の味がして美味しく、これを時々引き抜いて外水道で洗って食べれば、野菜不足がおぎなえると思っていたので残念です。
たくましさに期待していたミントもさすがによれよれです。
朝顔だけは、まだ丈が短くて助かり、元気です。

デスク前の緑がどんどん濃くなってうれしいので、もっときれいに見えるように窓ガラスをぴかぴかにしました。
トイレの上の雨樋に松葉が溜まりすぎ、雨が降ると、トイレのドアの前がナイアガラの滝のようになって入れないので、これも熊手で掃除しました。
人と会う仕事を済ませた後、居心地がよくなったyoyo館で長い夏至の夕方を楽しんでいます。

2012年6月22日金曜日

週末の授業

今週末は、今年度私が新しく担当する文学の授業のうち、ひとつ目をおこないます。
とりあえずいくつかの材料を集めてみました。
宮崎駿のアニメ作品『ハウルの動く城』、室町時代物語大成より「うばかは」(姥皮)、
堀江敏幸の『いつか王子駅で』、大江健三郎の「人間の羊」、ミラン・クンデラの『カーテン』など。

これをどう構成するかはここでは書きませんが、
「創作を目ざす人たちへ」と題して、創作する立場でどのように文学作品を読むかということを、段階を踏みながら一緒に考えようと思います。

それにしても「うばかは」、愛知や山形、新潟など日本各地に伝わってきた話のようですが、発想がめちゃくちゃ面白いです。
「皮」を着るとなぜ若い娘が老婆の姿になれるのか、さっぱりわけがわかりません。
古文など大の苦手だったのに、気合いで読めば読めてしまうこともわかりました。
これが年の功ということなのかもしれません。

2012年5月23日水曜日

『エクスクレイヴ』5号!

スペイン文学研究から作曲まで広範なジャンルに才能を持つ富田弘樹さんが主宰のリトルマガジン、『エクスクレイヴ』5号が完成しました。
私は短編小説「月村異聞」を寄稿しています。
素材として大きな関心事のひとつがあったのですが、うまく盛り込めたかどうか……
いろんな読み方がされればいいと思います。

他の執筆陣も毎度のことすばらしいです。
もし興味をお持ちの方は言ってください。

2012年5月21日月曜日

金環日蝕@鴨川べり

万難排して早起きした今日この日の朝、京都は運よく晴れ間が広がりました。
東側にベランダのある家からでもよかったのですが、20分ほど歩いて鴨川べりへ。
すでに集まっていた家族連れやカップルにならい、私も土手に座って、欠け続ける太陽を観察しました。
そのスピードたるや、けっこう速いですね。
7時29分、金の輪がくっきりと見えた時には、周りの子供たち同様、はしゃいだ気持ちになりました。
その後また、バス停でおばちゃん二人に観察用メガネを貸してあげて、一緒に盛り上がって。

観察用メガネが付録についている科学雑誌を買うのに出遅れ、一昨日あわてて本屋まわりをしたのですが、なんと4軒の店ですでに売り切れ。
5軒目の本屋に唯一残っていたのは、東京書籍の『宇宙図鑑』2500円也でした。
もう後に退くわけにはいかないので、甥っ子にあげるからいいやと自分を納得させて買いました。

日蝕観察の足で大学へ行ったので、ずいぶん早い出勤となりました。
朝のYoYo館は気持ちがいい!
森林の清冽な香りを吸い込むたび、もっと早くに出勤してここに来ればよかったと思いますが、今日はそれを実践して得した気分です。

午前中、YoYo館のまわりの地面を少しばかり耕しました。
石ころも多いけど、ミミズがすごく多い。
いったいシャベルで何匹ぶったぎってしまったことか。
ミミズがこれだけいるってことは、いい土だっていうことです。
シャベルは家の付近でどうしても見つからないとぼやいていたら、事務のKさんがわざわざ私のために買ってきてくれたものです。

2012年5月20日日曜日

35年ぶりの『異邦人』

今日は読書会。
テキストはアルベール・カミュの『異邦人』で、さまざまなテーマをめぐり、2時間半話が止まりませんでした。
奇しくも、先週の「引揚者」シンポジウムでも取り上げられた、というより「やり玉に挙がった」この小説が今日はまったく別の角度から論じられ、多様な読みをうながす作品なのだなあとあらためて実感しました。

個人的には、実家の本棚で見つけた『異邦人』の文庫本に「77年8月12日」と下手くそな字で日付が書き入れられているのを発見したことがなにより一番の驚きでした。
通読したのはだいぶ前に一回きりだったと記憶していましたが、まさか35年も前だったとは。
35年も前の自分など今の自分とは完全に違う人間なわけで、そうなるともう「私はこれを読んだ」と言えないのではという気がしてきます。
当時の私もカミュがフランス人作家だということぐらい知っていたはずですが、この小説の舞台がアルジェの近くだなどとわかっていたでしょうか。たぶんアルジェリアがフランスの植民地だとも知らなかったと思うし、フランスが舞台なのになんだか太陽がギラギラしていて暑そうだなぐらいの理解だったと思います。
なんとなくさらっと面白くは読んだけれど、「すごい!」と熱狂するほどでもなかった記憶があります。

別人間になった今、あらためて読んでみると、簡潔にうまくよく作りこまれている小説だなあとの感想を持ちます。
特に冒頭の葬儀の場面と、浜辺でアラブ人を殺す直前の場面の書き方はすごい。
アラブ人の顔が描かれていないことがポスコロ的批判にさらされていますが、母親の顔も同じように書かれていません。これは即物的な感覚だけを頼りにするムルソーの人物造形のため、あえてこのような描き方が選択されているのだと思います。
(宗主国の人間が被植民者ひとり殺して死刑判決という筋などは、植民地の現実を隠蔽していると言われても仕方ないかもしれませんが)
有名な書き出しも含め、小説にしかありえない不思議な時間が流れている作品とも感じます。

同時に読んだ、アルジェでの貧しかった幼年時代を回想するいくつかのエッセイがよかった。
尊大なおばあちゃんに苛められながら耐えるスペイン系のお母さんへの息子の思慕をつづった「裏と表」など胸キュンでした。

2012年5月15日火曜日

住所の謎

京都の新住所が長すぎて、大学や銀行などの書類に書き込むたび手が疲れ、そろそろ腱鞘炎になりそうな昨今。
ぼやいていたら、グラフィック・デザイナーをしている東京の家の隣人が、ゴム印にするための住所のデザインを5種類も作ってくれました。
さすがプロで、どれもこれもかわいい!
早くお洒落な住所ハンコをボンボン押して、手紙を出したりしたいものです。

それにしてもわからないのが京都の住居表示。
パソコンで7ケタの郵便番号を入力すると、今どきは町名に変換されますが、普通は一種類しか出てきませんよね。
それが新しいうちの郵便番号の場合、5種類も出てくるんです。
その5種類とは「A通B町下る」「A通C上る」「B通A西入」「B通A東入」「C通A東入」。
うちがこのどれに当たるかというと、不動産屋の書類にあったのは2番目で、だから自分ではこれを住所として書いています。
ですが最近、もしかしたら3番目をのぞく全部正解で、どれを使ってもいいのではないかという気がしてきました。
少なくとも1番目が書かれた郵便物が来ますし、すぐ隣の一軒家のお宅にも1番目が書かれています。
3番目だけは通りの向かい側な気がしますが、4番目と5番目も自分の家にあてはまるような。
でもこれも間違っているかもしれません。
誰か教えてほしい。

南北を表す「上る」「下る」という言い方にも、まだ慣れていません。
「上る」をうっかり「のぼる」と言ってしまい、京都生まれの親に呆れられました。









ドゥニ・ヴィルヌーヴ『灼熱の魂』

最近DVDになったばかりのケベック映画『灼熱の魂』(2010、カナダ)を見ました。
ケベック映画といっても、冒頭をのぞいて大半の場面はレバノン。
内戦状態のレバノンを逃れカナダに移住した母親の死後、残された双子(息子と娘)が母の故郷へ渡り、その足跡をたどる旅を続けるという内容です。
現在と、母が生きた内戦時代(1970年頃から80年代半ば)が交差しますが、ムスリムの恋人と引き裂かれ村の恥呼ばわりされたキリスト教徒の母が、パレスチナゲリラやキリスト教右派が入り乱れ、いつ殺されてもおかしくない状況下をかいくぐって生き延びる描写はあまりに過酷。そして結末はさらに……。

原題はIncendiesで、自身もレバノンからカナダに移り住んだ劇作家、ワジディ・ムアワッドの戯曲『焼け焦げる魂』がもとになっているそうです。

この映画、今年の「フランス語圏の文化」の授業で、ケベックの回に見せようかとも思っているのですが、ただでさえ重めのラインナップがますます重みを増してしまうかなー。
それとも去年同様、もっとずっと肩の力を抜いて見られる『大いなる休暇』にしたほうがいいだろうか。
迷うところであります。




2012年5月9日水曜日

おしらせ:環カリブ文化研究会





512日土曜日、以下のような催しがあります。

タイトルは「『引揚者』文学の概念を拡張する」。



まったく素人ながらコメンテーターを引き受けてしまいましたが、

おりしもカミュの『異邦人』を読み返したところ。

これこそまさに、植民地アルジェリアからの引揚者によるフランス語文学でしょう。



昨年来、集英社の「戦争×文学」シリーズに挑戦しようと思いつつ、

いまだ果たせていないのが情けないばかり。

「概念を拡張する」ってところが気になるな。

土曜日は勉強します。



環カリブ文化研究会

512日(土)14001730

「『引揚者』文学の概念を拡張する」

発話者(発表順)

:杉浦清文(神戸大学他非常勤講師)

:原佑介(日本学術振興会特別研究員)

:朴裕河(韓国・世宗大学校)

コメンテータ  

:中村隆之(東京外国語大学研究員)

:大辻都(京都造形芸術大学)

:浜邦彦(早稲田大学)

司会:西成彦(立命館大学先端総合学術研究科)

会場:立命館大学 衣笠キャンパス 学而館2F 3研究会室

2012年5月8日火曜日

京都の銭湯

新しく借りた家のお風呂が狭くて、あまりリラックスできないので、時々銭湯に通っています。
東京の中心も銭湯が多いけれど、京都の町中にも多いと初めて知りました。
歩いて2分ぐらいのところに一軒あるので、気軽に行けます。

江戸のお風呂屋さんもなかなかいいですが、京都の銭湯もまた違った味わいでいい。
内部の作りは昭和前半をしのばせ、そうでありながらとても清潔。
色とりどりの楕円のタイルづかいは子供の頃、大好きでした。
壁面は富士山の代わりに、なぜかアルプスの山並み。
鏡にはひとつひとつ手書き風の広告がついていますが、年配のお客さんが多いせいか、
鍼灸院とかお茶屋とか渋い業種ばかりです。

番台からの「おおきに」の声も、京都の銭湯ならでは。
この前はおばちゃんだったので気づきませんでしたが、今日の番台はおじさん。
女湯に対してはカーテン越しにお金の受け渡しをします。
あまりの奥ゆかしさを新鮮に感じながら、そういえば江戸の風呂屋はどうだったかなと思い返してみましたが、脱衣所が見渡せる番台じたい最近見ない。
少なくとも、うちの近所の何軒かの銭湯では。

ところで今、銭湯業界は「テルマエ・ロマエ」一色。
ここぞとばかりにポスターを何枚も貼り、ブームにあやかろうとしているようです。
各巻5回ずつぐらい読んでいる私としては、ブームに乗せられ、一緒に応援したい所存です。


2012年5月7日月曜日

新生活

京都に来てひと月ほど経ちました。
今yoyo館は、室内にいても新緑のにおいでいっぱいです。
まだ荷解きも終わっていませんが、目下の関心事は金環日食をどこで見るか。
京都中の山々がのぞめる大学からとも考えたけど、ここは東側の高みから西を見渡す地形なんですよね。
やはり視界のひらけた鴨川べりでしょうか。
21日早朝。
二度目のガイダンス、そして読書会の翌日ですが、どんなことが体験できるのか、もう楽しみすぎます。
観察用メガネ付き『かがくる』、買わなくては!