2013年2月26日火曜日

受験国語とギリシア・マキノ


これから大学で文芸を学びたいと思っている人たちに向けての
ミニ講義というものがあります。
そこで知恵を絞って考えついたのが、受験国語用テキストを
文学として楽しく読んでしまうという企画です。
このため目下、牧野信一と須賀敦子をいろいろ料理しているところ。
じつはそれぞれ、今春のセンター試験、大阪府公立高校の入試で
出題された作家なのです。

こう読んでみると、端正で奥深い須賀敦子の文章(『一トンの塩』)
ともかく、
ギリシア・マキノと呼ばれた牧野信一というのは変な作家ですね。
文学を始めるのに自分は何も知らないことに気づき、ギリシアまで遡って、
アリストテレス、プラトンと読み始め、パスカル、セルバンテスと
読み漁るんですが、必要なだけ読むには100歳まで生きても間に合わない。
挙句に自殺してしまうという、文学者として理屈はわかるがどうにも
居たたまれない人でした。
居たたまれないというのは、私自身その傾向があるから思うのですが、
「虱潰し方式」は生産的ではない手法です。
石井洋二郎『告白的読書論』にあった「割り算(あるいは引き算)の教養」
という名言を心に刻んでいる今日この頃です。

2013年2月19日火曜日

世界文学ナビ:カリブ編


ここのところ著者の方々からの情報が立て続けにあり、知ったのですが、
毎日新聞月曜日の朝刊で「新世紀・世界文学ナビ:カリブ編」が連載されているらしい。
「らしい」というのは、関西版では探せど探せど見つからなかったから。
ようやく毎日のウェブサイトで探し当てました。
1月から始まっていて、昨日のダニー・ラフェリエールでもう7週目。
 
以下がラインナップです。(カッコ内はナビゲーター)

1.デレク・ウォルコット(栩木伸明)
2.アール・ラヴレイス(中村和恵)
3.フリア・アルバレス(都甲幸治)
4.ジュノ・ディアス(都甲幸治)
5.マリーズ・コンデ(くぼたのぞみ)
6.パトリック・シャモワゾー(小野正嗣)
7.ダニー・ラフェリエール(立花英裕)

一般には知られていない、でも読めばぜったい面白い作家ばかりが
コンパクトに紹介されていて、すごくいい「ナビ」なのに、
東京版でしか読めないなんてもったいない。

新聞の紙面というのは、東西でずいぶん作りが違うのですね。
あらためて関西版の文化面を見てみると、
やはり日本の伝統文化関係の話題が中心。
身近で親しみがあるのでしょうが、外の世界の情報が少ないのは少し寂しい。

今時、新聞の紙面など大した影響力がないかもしれず、
ネットで情報入手ができればいいのかもしれませんが、
今でも紙の新聞の日常的・視覚的効用を信じている私としては
一人間の興味の形成に関わってくる問題だという気がしてしまいます。

ともあれいい企画ですので、関西地方の人はネットででも読みましょう。



 





2013年2月2日土曜日

もう二月

年が明けて、なんだかんだと過ぎてゆくうちにもう2月。
毎年この時期は進みが異様に早くて、はっと我に返ると3月になり、
無力感に襲われるのがつねです。
と言いつつ、冬至を基準に暦を考えているので、ずいぶん日が長くなったなあ、
もうすぐ春になる!と実感するのも今の時期なのでした。
(もう午後6時ぐらいまで日が暮れないんですよ、気づいていました?)

京都の冬はやはり寒く、蟄居するしかないところへ、
ようやく懸案の大事な仕事が動き出しました。
頓挫気味で待ちわびていましたが、ちょうどいい時期だったかもしれません。
大学の仕事にずっと流されてきた感がありましたが、
そろそろ自律的に自分の原稿もがんばりたいです。

そう言いながら、明日は丹波篠山へ猪を食べに行きます。
鯨の次は山鯨。