東北ツアーを続ける、朗読劇「銀河鉄道の夜」を見に、福島県の喜多方を訪れました。
会場は、江戸時代から続く造り酒屋、「大和川酒蔵・北方風土館昭和蔵」。
ご神樹の背後にある木造のその建物は、何百年も使い込まれ、磨き込まれ、
同時に現代的な清潔さにも満ちていました。
今回の出演者は、古川日出男、管啓次郎、小島ケイタニーラブ、そしてこの春から加わった
柴田元幸の各氏。
じつは代官山・サラヴァ東京でおこなわれた昨年の初演以来、今年の3.11の
西麻布・Rainy Dayでの公演、そして今回と、見に(聴きに)行くのは三回目。
初演の感動(笑いと涙)も、今年3.11の、出演者たちの魂が結集したような
豪華なプログラムも忘れがたいですが、
今回は最初から最後まで震えるような感動をおぼえ、終わった後は聴衆のこちらまで
ぐったりするほどでした。
それは賢治の世界そのもののようなこの場所で演じられたからということもあるでしょうし、
同じタイトルの舞台でありながら、この場にこそふさわしい・この場でしか聞けない
改変が、すべての演者によってなされていたからでしょう。
それにしてもあの力強いオリジナルな朗読、「永訣の朝」は涙があふれます……
朗読には、かような力があるのだと感じ入ります。
おりしも(というか、考えてみれば影響大受けなのですが)、京都の山々を見渡せる
大学のテラスで『銀河鉄道の夜』の読書会を企画しています。
そのためつい先日、テキストをじっくり読み直していたせいもあり、舞台の(とりわけ
古川氏の)深い解釈と、テキストからのこちらのイメージと理解がシンクロしたことも
感動につながったのかもしれません。
出演者の方々の文学への向き合い方には、いつも慄然とする思いがあります。
接することができて幸い。
ありがとう、ハルレヤ!
ところで今回の旅の出発地は、父の遺品整理のために訪れていたわが第二のふるさと、
大宮。
新幹線の車中、共通する景色、少しずつ混じってゆく東北の空気を実感しながら、
大宮は東北の玄関でもあると思いました。
発見です。