2012年12月17日月曜日

『大阪アースダイバー』

状況はどうあれ投票へは行くというのが方針でありながら、
転入届の提出が大幅に遅れたため現住所では投票できず、
アメリカ在住の時以来の棄権です。

ところで。
中沢新一の『大阪アースダイバー』がめっぽう面白い。
古代の地形から都市の成り立ちを読み解くのが「アースダイバー」のスタンスですが、
東京をテーマとした元祖より面白いと思います。

二千年前にはほぼ海底にあったのが砂の堆積により形成された土地であり、
海民と先住民が交流して「無縁」が基本である商いの都市を生み出したとの解釈は
大胆にして新鮮です。
そしてその形成の核になるのが、もともとの陸地である南北の上町台地のライン
(アポロン軸)と、この正しいラインを生駒山の方向へ捻じ曲げる東西の河内のライン
(ディオニュソス軸)のふたつの軸。

偶然にも私自身の大阪との関わりというのが、海であった梅田でも心斎橋でもなく、
まさにアポロン軸たる谷町筋(谷町線)とディオニュソス軸たる河内(近鉄南大阪線)
で、つねにこの北から南へ、西から東へというL字型を移動しているのが日常であります。
そして私の大阪での精神的拠点はなぜだか、かつて一時期住んだことのある
大阪市中央区石町であり続けているのですが、ここは上町台地の北端に位置します。

本書によれば、ここは新羅の渡来人であるツゲ氏(都下とも書かれる)が
渡辺氏と名を変え支配した一帯であり、豊臣秀吉により強制移住が命じられるまでは、
河内王朝最古の地主神を祀った坐摩神社があった場所なのでした。
これは中沢氏の推察の域にはあると思いますが、冬至の日、生駒山からの最初の陽光が
射すのが坐摩神社の位置であり、
つまり古代の人々は、この光により巫女が神の子を産むと考えていたという。

冬至っ子の私には、あまりに刺激的な発想ではありませんか。
間もなく来る冬至の日には、ぜひとも石町の坐摩神社跡に行ってみたいと思います。
さらにまた、私の移動ラインの続きである、上町台地(アポロン軸)北端から
東へ向けてのライン(京都市伏見区あたりまで)、伏見区から左京区までの
南から北へのラインという逆L字ラインについても、自分で考えてみたいです。

土地について考えるのは、なんでこう楽しいんでしょうか。

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