2012年11月14日水曜日

『新潮』、安部公房効果で異例の増刷

先日発見された安部公房初期の短編「天使」が掲載されたことで
『新潮』が文芸誌としては異例の増刷。
当初の1万600部刷っていたのが、各地で売り切れ続出のため
追加で4000部増刷。

この機会にぜひ、同時掲載の書評、「フォークナーを完成する」を
お読みください。

2012年11月8日木曜日

「フォークナー、ミシシッピ」書評

『新潮』12月号に、エドゥアール・グリッサン著『フォークナー、ミシシッピ』(中村隆之訳、
インスクリプト刊)の書評を書きました。
タイトルは「フォークナーを完成する」。

必死で熟読し、苦しみながら書いたぶん、グリッサン理解が前より深まったかも。
面白いけど、やっぱりむずかしい……
よかったらご笑覧ください。

おりしも、週末の授業で扱ったフォークナー。
グリッサンのいう、この作家固有の構造、「後れてくるエクリチュール」についても少し
話しました。

「意識の流れ」は20世紀モダニズム作家たちが試みた実験的技法、なんて
文学史ではさらりと説明されるけれど、上の構造のためには必然の要素で
決して同時代の流行りだからというわけじゃないんだということも、あらためて感じました。

今月号の『新潮』、最近見つかった安部公房の短編「天使」も載っているので
ぜひ本屋へ!

2012年10月25日木曜日

シャモワゾー来日とそのついでに

パトリック・シャモワゾーが京都にやってきます!
この来日にともない、いくつかのイヴェントが組まれているようです。

まずメインの講演会はこちら。

11月15日(木)17時より
立命館大学衣笠キャンパス創思館カンファレンスルーム
「カタストロフィと正義」
講演者:パトリック・シャモワゾー
ディスカッサント:ポール・デュムシェル
司会:西成彦
モデレーター:中川成美

11月12日(月)18時30分より
紀伊國屋書店
「文学の力」
パトリック・シャモワゾー×大江健三郎
司会:堀江敏幸

11月17日(土)
アンスティテュ・フランセ東京
「口承性とエクリチュール」
パトリック・シャモワゾー×吉増剛造

話を聞けるのが楽しみです。

この来日に合わせ、東京と京都でやる「ポストコロニアル文学」授業の内容を
当然ながらシャモワゾー特集に変えました。

比較的最近翻訳が出た『カリブ海偽典』をしっかり準備する時間はなかったので
『テキサコ』を扱います。

2012年10月19日金曜日

長谷川潤、ハワイを踊る

BSプレミアムで木曜の夜中に放映している「長谷川潤 ハワイを踊る」。
すばらしい番組で、今や毎週心待ちにしているのですが、あまり宣伝していないため、
半分ぐらい見逃してしまったのが悔やまれます。

ハワイ島育ちのモデル、長谷川潤が、フラの偉大なクム、ナラニ・カナカオレさんにカヒコ(古典フラ)を習うのです。
まずその振付がたいへん力強く、かっこいい。
当然、テレビの前で一緒に踊っていますが、ぜひとも模倣をきわめて全部踊れるようになりたい。
長谷川潤は足腰は意外に弱いようだけど、振付の覚えも早く、四肢がのびやかなので
とても美しく見えます。

そして毎週、ハワイ語で語られるハワイのさまざまな神話やメレ(詠唱)も楽しみですし、
場所や植物の紹介なども充実していて、フラをその本来のスピリットから
紹介しているのがいいです。
今日は、長谷川潤はおじさんとタロイモ(カロ)を収穫し、熱々に茹でたこれをつぶして作る主食、
ポイを作っていました。
少し酸味のある味と記憶していますが、できたてのポイは甘い!と長谷川潤が言っていました。

こんな番組を見るにつけ、やはりそろそろ自分も踊りたくなってくる。
京都にすばらしい指導者がいるというのは東京のハーラウで聞いていましたが、
そんなところに飛び込むほどの時間的余裕は今現在ない。
たまに軽ーくでいいから踊りたいなと思いながら歩いていて、
つい鴨川べりのスポーツクラブに入会してしまいました。
いや、ここに会員なら誰でも参加できるフラのプログラムがあったもので。

2012年10月11日木曜日

消えたマルチニック料理店

今年の初め、思えばまだ東京在住だった頃ですが、京都を散歩していたら、
なんと御所の目の前に「カリブ海サンドイッチ屋」を見つけました。
メニューや店構えをみると、どうやらマルチニック本場の味らしく、非常に
興味を掻き立てられました。

まさかその近所に自分が住むことになるとは、その頃は思ってもいなかったのですが、
ぜったい行こう、通いつめることになるのでは?という期待と予想とは裏腹に
足を運ぶ機会もないまま10か月ほど。

先週、通勤のバスのなかからふと見ると、店がもぬけの殻になっている!
結局、一度も京都のマルチニックを味わうことはできませんでした。
京都の、しかも御所の前にこんな場所があることがすばらしかったのに。
非常に残念!

ところで、スケジュールはもちろん心の余裕なく、7か月暮らして寺社仏閣のひとつも
見ていません。
来月ぐらいには一日二日、夏休みをとれるよう、がんばって切り抜けたいです。

2012年9月25日火曜日

喜多方の夜

東北ツアーを続ける、朗読劇「銀河鉄道の夜」を見に、福島県の喜多方を訪れました。
会場は、江戸時代から続く造り酒屋、「大和川酒蔵・北方風土館昭和蔵」。
ご神樹の背後にある木造のその建物は、何百年も使い込まれ、磨き込まれ、
同時に現代的な清潔さにも満ちていました。

今回の出演者は、古川日出男、管啓次郎、小島ケイタニーラブ、そしてこの春から加わった
柴田元幸の各氏。
じつは代官山・サラヴァ東京でおこなわれた昨年の初演以来、今年の3.11の
西麻布・Rainy Dayでの公演、そして今回と、見に(聴きに)行くのは三回目。
初演の感動(笑いと涙)も、今年3.11の、出演者たちの魂が結集したような
豪華なプログラムも忘れがたいですが、
今回は最初から最後まで震えるような感動をおぼえ、終わった後は聴衆のこちらまで
ぐったりするほどでした。
それは賢治の世界そのもののようなこの場所で演じられたからということもあるでしょうし、
同じタイトルの舞台でありながら、この場にこそふさわしい・この場でしか聞けない
改変が、すべての演者によってなされていたからでしょう。

それにしてもあの力強いオリジナルな朗読、「永訣の朝」は涙があふれます……
朗読には、かような力があるのだと感じ入ります。

おりしも(というか、考えてみれば影響大受けなのですが)、京都の山々を見渡せる
大学のテラスで『銀河鉄道の夜』の読書会を企画しています。
そのためつい先日、テキストをじっくり読み直していたせいもあり、舞台の(とりわけ
古川氏の)深い解釈と、テキストからのこちらのイメージと理解がシンクロしたことも
感動につながったのかもしれません。

出演者の方々の文学への向き合い方には、いつも慄然とする思いがあります。
接することができて幸い。
ありがとう、ハルレヤ!



ところで今回の旅の出発地は、父の遺品整理のために訪れていたわが第二のふるさと、
大宮。
新幹線の車中、共通する景色、少しずつ混じってゆく東北の空気を実感しながら、
大宮は東北の玄関でもあると思いました。
発見です。

2012年9月6日木曜日

スズメバチ再び

コメントをいただいていたのに、なぜか反映されていなかったようで、すみません。

ひとり研究室にいると、雷が深く山に響いているような感じが恐ろしいです。
そしてさっきから、ガラス窓と網戸の間にはさまってうろうろしているスズメバチ。
横目で見ながら、グーグルで画像検索してみれば、やはりどうにもスズメバチ。
恐ろしい。
一度、巣が駆除されたという話だったのですが、まだいるようで、途中の山道が再度
封鎖になりました。
家ではそろそろカブトムシが落命し始めました。
なんだかサビシイ。
東の都のみなさん、お元気でしょうか。
グスン、シクシク。

猛然と教科書書きながら、秋の始まりを感じています。
ラブレー、モンテーニュとすごい勢いで駆け抜けていますが、もっとじっくりおつき合い
したいですね。
近いうちにはきっとね。